まだ見ぬ音の波に

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新たなブレンド製法から生み出された新鮮さ KREVA『AFTERMIXTAPE』[アルバムレビュー]

 

 

 

9月にリリースされたKREVAの通算8枚目のフルアルバム。

 

 『AFTERMIXTAPE』

 

アルバムのタイトルにはMIXTAPEというワードが入っており、

フルアルバムとは違ったブレンド製法による作品。

 

今までのアルバムでは感じられなかった”新たな味”というのを、

曲を聴いていく過程で味わうことができる一枚となっています。

 

今回は、

『AFTERMIXTAPE』についての感想およびアルバムレビュー、

その他それに付随する話をしていきたいと思います。

 

それでは、始めて行きましょう!!

 

 

 

そもそも”MIXTAPE”って?

 

まず気になったのが、

タイトルに”MIXTAPE”という言葉が混じっているということでした。

 

この”MIXTAPE”の定義というものを、WIKIから引用すると、

 

主にヒップホップ、ラップ、R&B、レゲエなどの音楽ジャンルにおいて、DJが未発又は既発の歌手の楽曲にリミックスを施し、ほとんどは製作者などの許可を得ずに路上などで発売するカセットテープである。

引用元:ミックステープ - Wikipedia

 

といった形になるとのこと。

 

ただ、これはあくまで原点の定義といった感じになるので、

今でいうMIXTAPEは、もう少し広い意味を持っているように思いますね。

 

 

わたしは、洋HIPHOPのMIXTAPEをよく聞いていた時期があったので、

個人的にMIXTAPEというものをイメージすると、

 

まだアルバムをリリースしていないラッパーや、R&Bシンガーなどが、

流行りのトラックや、有名なトラックなどを使って、

そこに自分の声を乗せ、Remixした曲を作る。

 

そして、それらのRemix曲をかき集め、ひとまとめにしたものがMIXTAPEになる。

主に、DJのMIXCDのように曲が繋がり続ける場合が多い印象ですね。

 

ただ、Remixした曲だけではなく、そこに自分のオリジナル曲を混ぜたりですとか、

通常のアルバムのように一曲一曲が独立していたりすることもあります。

 

さらに、名が知られていないアーティストだけではなく、

有名なラッパーが遊び心満載で、MIXTAPEをリリースするということもあるので、

「MIXTAPEは、こういうものだ!!」といったはっきりとした答えは、

わたしの中では出来ないなあという印象ですね。

 

つまり、定義はないので自由なイメージですし、

通常のアルバムでは見られないような遊び心を見ることができるというのが、

MIXTAPEであり、それがMIXTAPE特有の魅力であるかなと思います。

 

日本のラッパーのMIXTAPE

 

日本のラッパーだと、

AKLOが2009年と2010年に洋HIPHOPのトラックをRemixしたMIXTAPEをリリースし、

当時かなり話題になりました。

 

SALUも、ファーストアルバムをリリースする前に、洋HIPHOPのRemixをした曲を詰め込んだMIXTAPEをリリースしていますし、

KOHHは、フルアルバムのリリース前に、Remixと自身のオリジナル曲を混ぜ合わせた『YELLOW TAPE』と題したMIXTAPEを発表しています。

 

これらは総じて、

自由度が高いですし、聴いてて楽しいんですよね。

 

AKLOのMIXTAPE『2.0』は、ストリーミングで今も聴けるので、

下記にリンクを貼っておきます。

 

aklo.bandcamp.com

 

『AFTERMIXTAPE』の由来

 

続きまして、アルバムのタイトル名に関するお話ですね。

 

最初は、”MIXTAPE”という言葉だけが意識されていると思っておりましたが、

どうやらAFTERのほうにも意味があるとのことで、いくつか記事を引用します。

 

タイトルの『AFTERMIXTAPE』(読み:アフターミックステープ)は、ヒップホップ界で時代とともに独自の進化を遂げる“ミックステープ”とブレンドコーヒーの製法である“アフターミックス”を合体させた造語。

引用元:KREVA流“ミックステープ”は手間をかけた逸品…ニューAL『AFTERMIXTAPE』詳細発表 | BARKS

 

“ミックステープ”は昨今、国内外でカセット、CD、ダウンロード、ストリーミングといったメディアの枠をこえて自由に定義されている。一方で“アフターミックス”は数種類のコーヒー豆をベストの時間で焙煎してから混ぜるという手間をかけた製法であり、その手間のかけ方が楽曲制作に通じる部分があると考えたことから、“アフターミックス”と“ミックステープ”の言葉を掛け合わせた『AFTERMIXTAPE』という言葉が生まれた。

引用元:KREVA流“ミックステープ”は手間をかけた逸品…ニューAL『AFTERMIXTAPE』詳細発表 | BARKS

 

コーヒーの製法である“アフターミックス”という言葉と、

“ミックステープ”を繋げて『AFTERMIXTAPE』。

 

なるほどなるほど。と思いましたね。

 

手間をかけつつも、お堅くするのではなく、

自由さを残すように作られたミックステープ。

 

それが『AFTERMIXTAPE』なのではないかと、わたしは思いました。

 

なおかつ、

ジャケットの味のある質感は、コーヒーの色合いといいますか、焙煎の過程が意識されているように感じます。 

 

KREVAのMIXTAPE

 

ここで、浮かび上がる疑問が一つ。

 

はたして『AFTERMIXTAPE』は、MIXTAPE的なのか⁇というところですね。

 

わたしが思うに、

『AFTERMIXTAPE』は、完全なMIXTAPEになっているのかと言われると、そうではないと思います。

DJのMIXCDのような繋ぎ方ではないですし、誰かの曲をRemixしているわけではないので。

 

ただ、今回はあくまでも”KREVA流”のMIXTAPE。

 

曲間の繋ぎは意識されていて、タイミングよく曲が繋がれていますし、

作った曲をMIXTAPEにしまいこんだというよりかは、MIXTAPEの雰囲気や繋ぎを意識した曲作りを行ったのではないかなと思いました。

 

それを特に感じたのが、

4曲目の「S.O.S.が出る前に」~9曲目の「もしかしない」までの流れですね。

 

まず曲順を見ていきます。

 

4/ S.O.S.が出る前に

5/ アイソレーター

6/ リアルドクターK(ほぼSKIT)

7/ 人生

8/ Don't Stop Y'all, Rock Rock Y'all(SKIT)

9/ もしかしない

 

といった感じですね。

 

まず4曲目の、

「S.O.S.が出る前に」の始まりって、ベースとドラムの打ち込みのみなので、

どんな曲になるのかが非常にわかりずらいんですよね。

時間が経つにつれて徐々に音が加わり始めて、

サビは最初の雰囲気とは変わって、とてもメロウになります。

なのでこの曲では、曲自体がMIXされて違う曲に移るような感覚を感じました。

 

5曲目は、「アイソレーター」。

重めのビートに、KREVAが日常で感じる鬱憤を吐き出していく曲なのですが、

この自由なフォーマットでラップをしている様子が、フリースタイルのように感じるんですよね。

実際、洋HIPHOPのMIXTAPEでは、フリースタイルのようにラップを乗せた曲が収録されたりするので、

この曲においても、MIXTAPE的要素を感じました。

 

6曲目は歌が入るのですが、時間が1分40秒と、ほぼSKITのような感じですね。

なぜこの曲がSKITと思うのかと言いますと、次に繋がる「人生」と言う曲への繋ぎがとても印象的だからかなと思います。

この曲をここに置くことによって、次の曲がとても際立つんですよね。

「人生」という曲の前座を務めている感じだなあと、わたしは思いました。

 

7曲目は、「人生」という曲。

”人生というのはどういうものか”というのが、力の抜いたラップで披露されています。

SKITからの繋ぎ方ももちろんですが、「アイソレーター」同様、通常のアルバムでは見られないような歌詞の内容というのに、MIXTAPEさをとても感じました。

  

そして、7曲目のSKITも同様で、

8曲目の「もしかしない」に繋ぐため、そして次の曲を引き立てるために、置かれているように思いました。

 

なので、以上をまとめると、

4/ 曲自体がMIXぽい曲

5/ フリースタイルのように言葉を吐く曲

6/ 前座と引き立て(ほぼSKIT)

7/ MIXTAPEを感じる力の抜いたラップ

8/ 前座と引き立て(SKIT)

9/ もしかしない

と言った感じです。

 

以上が、MIXTAPE的だなあと、

聴いてて特に感じたところですね。

 

 

聴き始めは、フルアルバムという枠の中で、

MIXTAPEがかなり意識されているアルバムだなあと思っていたのですが、

 

そもそもMIXTAPEというのは、定義があいまいで、

その自由さが一番の魅力的なポイントになるので、

 

『AFTERMIXTAPE』は、MIXTAPE的ではなく、

 

MIXTAPEである。と。

 

最終的にそのように思いました。笑

 

 

続きまして、

このアルバムで印象に残った曲「人生」の中で、

特に気になった歌詞をご紹介していきたいと思います。

 

「人生」の印象的な歌詞

 

断定しない伝え方

 

HOOKの歌詞からの引用です。 

 

頑張ってると思うよ

頑張ってると思うよ

わかってると思うけど

一応言うよ

俺らはまだまだ発展途上

 

KREVA「人生」

作詞:KREVA

 

この部分では、決して断定をしないんですよね。

 

頑張っていると”思うよ”

わかっていると”思うけど”

 

”一応言うよ”と前置きし、 

”おれらは発展途上”と励まし、応援する。

 

 

 もしも、

「なあ。頑張ろうよ。

おれらはまだ発展途上じゃん。」

って言われると、

 

「いやいやそうだけどさ。

こっちは気にしてんのよ。この気持ちわかる??」

ってなると思うんですよね。

 

 

でも、それを、

「いやあ。頑張っていると思うよ。

しかも、わかっていると思うけどさ。一応言う。一応ね。」

と前置きされると、

 

「そうだよね。まだ発展途上だよね。

ありがとう。元気出たよ。」

ってなると思うんですよね。

 

まあ、あくまでも、わたしの場合はですが。笑

 

なので、

この断定しない伝え方が、とても印象に残りましたね。

 

MIXTAPEだからこそ聞けた歌詞

 

あの頃の俺ら...

アホみたいな遊び方

それでもシンプルに楽しかった Yeah

 

KREVA「人生」

作詞:KREVA

 

この歌詞から「人生」という曲のバース部分は始まります。

 

なので、このリリックを初めて聴いた後に、

 

「えっ⁇今なんて言った⁇」

といった感じで、かなり驚きました。

 

なぜかと言いますと、 

このように、思い出を回想しながらぽろっと出たような力の抜けた歌詞を、

KREVAから聴けるとは思わなかったんですよね。

 

「アイソレーター」も普段のアルバムでは見られないような内容となっているので、

このふとした思いがそのまま表現されたリリックというのは、MIXTAPEだからこそ聞けたんだなあと思うと、とても嬉しくなりました。笑

 

KREVAの強さ

 

見えるようになったね 全体が

知りすぎたとも言える

知ってしまったからこそ怯える

だけどなくならないんだよ 好奇心

それこそが俺の方位磁針

 

KREVA「人生」

作詞:KREVA

 

めちゃくちゃ心に刺さったフレーズですね。

 

経験を積むほど知ることが増えて、

時として、それら知識や経験が足かせになって怖くなってしまったり、

前に進めなくなったり、選択できなかったりすることがある。

 

でもKREVAは言う。

 

おれの好奇心は、なくならない。と。

 

これが本当に意味することって、

好奇心がなくならないのではなく、

 

好奇心をなくならないようにしているのだと思うんですよね。

 

いくらおびえてしまっても、方位磁針があれば迷わずに済むはずだ。

だから、好奇心をなくしてはならない。前に進めなくなるから。

 

わたしは、そのような意味として受け取りました。

 

 

自らを知って、自らを保つために、自らが意識し続ける。

 

わたしもおびえることがないように、

常に好奇心を持って行きたいなあと、感じたところですね。

 

 

ここまでが、「人生」についての気になった歌詞の感想ですね。

 

KREVAが表現した”敵がいない国”

 

youtu.be

 

YOUTUBEにアップされたアルバムのリード曲。

「敵がいない国」。

 

はじめて聴いた時に、とても新鮮だなあと思ったんですよね。

 

「KREVAの曲なのか⁈」と、疑うほど意外なビートで来たので、まずそこに驚きましたし、

異質で怪しい雰囲気のPVに、民族楽器のような音が響くところも、とても印象に残りました。

 

そして、

HOOKのリリックがとても素敵だなあと感じたんですよね。

 

ゆらゆら U.F.O.

人の真似じゃなく 自分でいよう

誰と戦うでもない 不戦勝

大事と思ったら 付箋しよう

KREVA「敵がいない国」

作詞:KREVA

 

周りの目なんて気にせずに、ありのままでいよう。

誰かと比べるのをやめて、自分らしくいよう。

そうすれば争うこともない。敵もいなくなる。

 

生きずらい世の中にいたとしても、

自分の内にある考え方を変えることで、

敵のいない状況になる。

 

つまり、生きやすい世の中にすることが出来る。

 

そういったポジティブな考え方をしていこうよという、

KREVAの提示をとても感じた一曲ですね。

 

 

おわりに

 

前回は、”攻め”のラップの曲「神の領域」が収録されていましたが、

今回も、「無煙狼煙」という尖った曲が収録されていたところも、個人的に上がったところですね。

 

「無煙狼煙」をはじめ、「敵がいない国」、Nulbarichとの曲や、「人生」など、

曲単体でも楽しめるところに、今回はMIXTAPEという新たな要素が加わったことで、

今までとは違った味を感じ、新しさ、新鮮さというのをより感じました。

 

はたして次回作はどのような内容のアルバムとなるのか。

 

とてもとても楽しみで仕方ありませんね。笑

  

以上で、KREVAのアルバムレビューを終えたいと思います。

 

 

それでは(^^)/