まだ見ぬ音の波に

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圧巻のパフォーマンス Creepy Nuts「生業」。64小節に込められた日本語ラップへのDISと愛。[歌詞の感想]

 
Creepy Nuts「生業」。

 

2018年10月にZeppで開かれたワンマンツアー

『クリープ・ショー2018』の映像を拝見しました。

 
5分弱でなかなかの長さなのですが、
すさまじいパフォーマンスにやられ、

気づいたときには、すでに動画が終わってました。笑

 

youtu.be

 

この曲、HOOKがないんですよね。


64小節のラップで構成されています。


普通のラップの曲は、1バース16小節なので、
64小節ってかなり長いはず。

 

それなのに聴いている内に、あっという間に時間は過ぎてて、
意味が分からなかったところを知るために、また聴き始める。

 

この再度聴きたくなるという感情の根底には、

曲のタイトルが「生業」であることが関係していると思うんですよね。

 

”生業”というのものは、いったいなんなのか、


それをとても考えさせれられた一曲です。

 

今回は、Creepy Nuts「生業」について、

わたしが個人的に感じたこと、思ったことを、

リリックの意味を考えながら、述べていきたいと思います。

 

 

5つの印象的なリリック

ラップでいるもの、いらないもの

 

一本のマイク それだけ

一本のペン それだけ

一枚のpaper それだけ

でも無いなら無いでも別に構わねえ

dopeなbeats それだけ

ステージとスピーカー それだけ

でも無いなら無いでも別に構わねえ

アカペラでも聞けるラップだぜ

 

Creepy Nuts「生業」

作詞:R指定

 

R指定はMCバトルに数多く出場しており、

地元大阪ではサイファーでスキルを磨いていました。

 

サイファーでは、マイクもないですし、

即興なので紙とペンすらもいらない。

ステージはなく路上。

 
しかし、

ラジカセにスピーカー、ようするにビートは必要のはず。

 

それなのに、R指定はビートすらも必要ないと言う。

 

己のスキルの高さを表現することで、自らハードルを上げ、

聴いている側は、あとに待ち受けるリリックをより聴き入ることとなる。

 

冒頭部分から非常にグッときましたし、一気に引き込まれたところですね。

 

 

天才と評されるR指定の武器は、意外なもの

 

かつてのクソガキの武器は無知と減らず口

尖ったペン先 よく言われた ワナビー 所詮小手先

 

Creepy Nuts「生業」

作詞:R指定

 

こちらからは、

R指定がとにかくがむしゃらに、戦ってきたことが窺えます。

 

”尖ったペン先”というところは、

リリックを書く時の鉛筆の芯のことを言いつつ、

R指定から出た、”杭”、を表しているのではないかと思いました。

 
そして、

杭が出ると、それを打ちたい人が表れる。

 

”よく言われた ワナビー 所詮小手先”

 

「お前は、威勢だけで実力が伴っていない」といった意味を、

ペン先(さき)繋がりで表現しているように思います。

 

あの日のパイセンお元気ですか?

貴方は今も現役ですか?

もう赤玉が出ましたか?

俺のペン先からは今夜も原液のスペルマ

 

Creepy Nuts「生業」

作詞:R指定

 

この部分では、出る杭を打とうとしてきた人たちへの、

何年か越しの言い返しのように感じます。

 

ここにも、”ペン先”が出てきますが、

あえて同じワードを用いて、さきほどとは違う意味を持たせています。

 

 

呼びかける部分では、

「もうあなた方は引退してますか?」と直接的な表現を用いつつ、

 

そのあとに続くリリックでは、

「おれはまだ現役でやってますよ。」と皮肉が込められた表現が使われている。

 

言葉遊びをしながら、かつ意味を通しつつ韻を踏んでいく。 

聴いている時も楽しめましたし、何度か聴いた後に新しい意味を知って、再度楽しめたところですね。

 

この辺は、個人的に好きな一節です。

 

 

ビート板がないと泳げない?

 

日々トレンドとにらめっこ

また巷に溢れるイミテーション

お前の歌詞、幼稚園児の作文

俺の歌詞、広辞苑10冊分

お前のバース、オートチューンがかかってる

俺のバース、いくつも意味がかかってる

 

Creepy Nuts「生業」

作詞:R指定

 

ちまたに溢れる模倣品。

ここでは、流行りに乗せようとただオートチューンをかけ、

リリックの内容がない曲を、批判しているように思います。

 

いずれ実証 流行病と末期症状

消しカスの山の頂上

待ち合わせる10年後

ウサギとカメ、リズムネタと話芸

 

Creepy Nuts「生業」

作詞:R指定

 

においては、
それらの模倣品は、時間が経てば、ただの流行りものとしてちやほやされていたことに気付く。

そして、流行りもののリズムネタのようにいなくなっている。

 

さらに、このリズムネタのあとに話芸と言っているので、

10年経っても、歌詞の内容に進歩がないし、

相変わらずリズムネタ程度の韻しか踏めないんでしょ。と。


私は、そのような意味が含まれているのではないかと思いました。

 

オートチューン無しで泳げそうか?音の宇宙

ビート板無しじゃ溺れそうか?ビートの波

 

Creepy Nuts「生業」

作詞:R指定

 
ここでも再度オートチューンに関する内容が出てきます。

 

ビート板は、オートチューンに再度かけてるようにも思えますし、 

 

「あなたは、アカペラ(ビートなし)だとラップができませんか?」

 

と、冒頭で述べた”アカペラでも聞けるラップだぜ”から意味を繋げ、

皮肉まじりの呼びかけとしても捉えられました。

 

 

 DISに込められた対照的な思い

 

言い訳はアンダーグラウンド

その便利な隠れ蓑に隠れるよりやるべき事やる

 

Creepy Nuts「生業」

作詞:R指定

 
この部分は、アンダーグラウンドをDISしているというよりかは、

メジャーで活動するCreepy Nutsを批判する人たちに向けて、言っているように思います。

 

「では、非難するあなた方はどうなのですか?」と投げかけたのに対して、

 

「おれはアンダーグラウンドだから」と言われたことへの、

R指定の呆れた思いを表している。そんな気がします。

 


HIPHOPでアンダーグラウンドとは、メジャーデビューしてない人のことを主に指すと思いますが、

そのアンダーグラウンドを”隠れ蓑”と表現。

 

わたしはアンダーグラウンドがあるからこそ、メジャーがあると思いますし、

アンダーグラウンドだからこそ、生まれる音楽もあると思います。

R指定自身もおそらくそれを踏まえた上で、アンダーグラウンドで活動している人たちへのエール(愛あるDIS)をしているのかなとも思いました。

 

 

 終わらないのが、生業

 

まだ始まったばっかり

道程なら長い

俺の生きた証

記すダイアリー

生業

 

Creepy Nuts「生業」

作詞:R指定

 
バースの大部分にDISが見受けられますが、

最後はR指定自身の話ですね。

 
まだまだ努力をし続け、生きた証(音楽)を世に出しつつ

これからも継続して生業を続けていく。

 

依然として、R指定の謙虚な姿勢を感じました。

 

おわりに

 

以上が、「生業」についての歌詞の感想及び考察となります。

 

 

一番印象に残ったラインは、

 

”お前の歌詞、幼稚園児の作文

俺の歌詞、広辞苑10冊分”というところでしょうか。

 

意味を通しながら韻を踏みつつ、言葉遊びをしていく。

聴いたときからグッときましたし、 ただただ納得したところですね。

 

 

そして、

「生業」というものは、名前だけの単なる肩書きではなくて、

継続してスキルを上げ続け、価値を生み出し続けることなんだなと。

 

ただ業に就くだけではなく、洗練していくこと、研ぎ澄ましていくこと。

 

この曲を聞いて、私はそう感じました。

 


今後もCreepy Nutsの活動に期待ですね。

 

それでは(^^)/